「経年劣化」はオフィス原状回復工事の過程の中で出てくる問題の一つです。
故意に壊したわけでなくても、何年かオフィスを使用していると、時間の経過とともに建物や設備が壊れたり汚れがついたりしてきます。
一例として
「建物の壁が自然と剥がれ落ちてくる」
「床やクロスが汚れてくる」
などといった現象があります。
いざ原状回復工事にとりかかろうとすると、これらの「経年劣化」に当てはまる部分まで、入居テナント側が負担すべきか否かという点で悩んだことのある方も多いでしょう。
どんなものでも時間の経過とともに変化していくので、たとえオフィスとして使用していなくても「経年劣化」は発生します。そのため、「経年劣化」は入居テナント側に全責任があるというわけではありません。
経年劣化の部分は賃料でまかなわれるべき範囲
オフィスを借りている間に発生する賃料には、この経年劣化にかかる費用も計算された金額で設定されているはずです。そのため経年劣化は契約時の特約などが無い場合、オフィスを借りている間に発生する賃料でまかなうのが妥当です。
しかし、契約内容によっては「経年劣化の範囲内まで入居テナント側に原状回復工事の時に要求する」といった内容が記載されていることがあります。
オフィスを借りる時には退去時の注意事項まで確認し、しっかりと理解した上で契約するようにしましょう。
また、原状回復工事の中の経年劣化に関する部分は、入居テナント側とビルオーナー側との交渉の中で、ある程度融通を効かせてくれる場合もあります。
原状回復工事について正しく理解する
入居テナント側は、オフィス退去時の原状回復工事に取り掛かる際にまず「原状回復工事」の範囲を確認しましょう。
原状回復工事の際に注意する点は、経年劣化の部分まで修繕する必要があった場合、「入居時」の状態が基準となる、ということです。
例えば、空調設備などを入居時の状態よりアップグレードし、より良いものに取り換えることは、原状回復工事には当てはまらないということです。
原状回復工事前に取り換えたばかりの電灯なども確認してみましょう。
経年劣化の跡も特になく、明らかにまだ長期間使用できるものを取り換えてしまう事は、手間や費用面からみても適正とは言えません。
全てのものを新品に取り換えることが原状回復工事なのではありません。
原状回復工事とは、「オフィス入居時の原状に回復すること」をいいます。
オフィスとして使用する際に「増設した設備」や「変更した仕様」などは元の状態に戻す必要がありますが、元からあったものを最新式に取り換える必要はないということを覚えておきましょう。